生まれたままで

春夏秋冬生まれ変われると 別れ際君に教えられた

欅坂46全国アリーナツアーを見てケヤつきたくなった話.

ついこの前,8/16・17で欅坂46全国アリーナツアー「真っ白なものは汚したくなる」愛知公演@日本ガイシホールに参戦した.

地元が岐阜県でありながらSKEを応援していた時代は大箱ライブに参戦することもなかったので,日本ガイシホールへ約15年ぶりに訪れた.(前はちっちゃい頃に親に連れられて行ったディズニーオンアイスのショーだったらしい.)

詳しくない人に説明すると,欅坂というグループにとって今回のツアーは記念すべき1stアルバム「真っ白なものは汚したくなる」を携えての初めての全国ツアーで,グループの今後を左右すると言っても過言ではないツアーである.

しかし,そんな期待とは裏腹に全国ツアー初日の神戸公演でセンター平手がまさかのアンコール完走前に脱落.以降の公演も復調しないままのコンディションで強行出場を続け,欅坂界隈には大きな衝撃が走ったのである.

そんな大きな話題を呼んだ今回の公演に参戦し,思うことが多々あったので2日目帰宅してからつらつらとツイートしたら思いの外長くなってしまい20個ぶんくらいのツイートになってしまったので(下書きしてた段階で気付け),今後の記録も兼ねてブログにまとめたものを掲載しようと思う.

この2日間で1日目は上手アリーナ最後方ブロックで,2日目は下手スタンドで参戦してまず最初に思ったのは舞台演出や映像効果は全く乃木坂を踏襲してなくて別物だったということ.

有明ワンマンの時はトロッコ等の飛び道具を一切用いず,MCも最低限に留めて楽曲をとにかく魅せることに終始した構成がシンプルでとても良かったのだけど,今回はそれに舞台装置,演出映像,照明効果を加えることで楽曲を軸に完全に場を支配する構成になっていた.

現に開演前に乃木坂の現場以上に盛んだった”俺の嫁俺の嫁!〇〇〇〇さ〜ん”コールは開演後皆殺しにされて2日間とも本編・EN中では一切出てなかったし,overture~M1のペンライト点灯制限もあのオープニングを見たら誰でも納得する要請だと思う.

実際に点灯制限を最後まで忠実に守ってたのはあのオープニング映像を最も鮮烈に目撃した三角形ステージ内部アリーナで,そこの部分だけはM2イントロが始まるまで誇張ではなく本当にペンライトが1本も点灯してなかった.

この演出に関してはこれだけ大量のケヤキッズを一瞬にして黙らせて,提供する側の思うままにコンテンツを見せつけたという点において大成功だと思うし,後に続く本編を考えても必要不可欠だと思う.

それと演出構成で特徴的だったのは曲間にブレイクが随所に入っていた点.従来なら楽曲を間髪入れずに繋げて,シーケンスでボルテージを上げていくところをそんなセオリーはガン無視で1曲1曲を丁寧に見せようとする制作サイドの執念をとても強く感じた.

この点も有明にはなかった新しい演出だと思う.(代々木や共和国にあったらごめんなさい.)

でも実はこのブレイクは各楽曲のフォーメーション転換やユニットのメンバーの交代のために必要なものでステージ構成を工夫すれば削れる部分かもしれないけど,余分な演出感を出すことなく機能してて,何より欅坂の楽曲群が単体で魅せられることに耐えうるだけの存在感を持ち合わせてることが確認できた.

これだけでも今回のライブは参戦する意義があると思う.

あと,これは私感だけど欅坂のセットリストはとにかく中だるみが少ない.これにはひらがなけやきが相当大きい役割を果たしていて,前から言われる陰の漢字,陽のひらがなが綺麗に1つの流れの中でとても鮮やかに噛み合ってる.

もちろんこの演出には副作用もあって,初見では敷居がやや高く,アイドル慣れしてる人にとっては不完全燃焼に終わる可能性もあるんだけど,敷居が低く誰でもテーマパーク的に楽しめる乃木坂のライブと,提示されていくフルコースを順番に楽しんでいく欅坂のライブを同時に目撃できることはとても良いことだと思う.

今回のツアーで初めて披露された振り付けもTAKAHIRO先生の世界観の中で1人1人が光るような設計になっていて,「東京タワーはどこから見える?」の1サビの齋藤冬優花,2サビ直前の土生や「バレエと少年」の上村,小池,「ここにない足跡」の理佐,「猫の名前」の菅井,「沈黙した恋人よ」の加藤は特に印象に残った.

自分が気づいただけでこれだけあるので,いろんな視点を総合すればもっといいところはたくさん出てくると思う.

ここまでで挙げた点を総合すれば,この方向性でアレルギー反応が出ない限り,セットリスト・演出でまず不満が出ることはないはずで,今泉を含む全員が最高のコンディションで予定通り出演できていれば「無敵艦隊欅坂46」がツアーを重ねるごとに完成していく最高の夏になることは間違いなかったと思う.

ただ,これだけのお膳立てを全てひっくり返し,これらの舞台演出や他のメンバーを凌駕してその場を支配していたのが,センター平手友梨奈の存在感に他ならなかった.

平手の休演が事前に分かっていた1日目の名古屋は自分が想像していたよりも会場の雰囲気は穏やかだったし,終演後も物足りなさは感じはしたものの,満足感もあってネットで騒がれてるほどひどいライブではないと思っていた.

ただ,休演情報が出なかった2日目のライブはオープニングで「平手友梨奈」の文字とシルエットが浮かんだ瞬間に会場のボルテージが1日目ではありえないほど急上昇し,全体曲であるにも関わらず「エキセントリック」「月曜日の朝,スカートを切られた」では平手友梨奈が存在していると言う事実だけが完全にあの場の空気を支配していた.

不意にのぞかせる平手の笑顔がモニターに映るたびに会場からは歓声が湧き上がり,「世界には愛しかない」のポエトリーリーディングが聞こえなくなった瞬間に会場はありえないくらい静まり返った.いくらセンターとはいえ,あそこまで会場のボルテージを乱高下させる存在は今までいなかったと思う.

あの存在感を見れば,平手一極集中の演出が平手を苦しめているのではなく,平手の存在感が平手一極集中の演出を生み出しているとも感じるし,前日からの復帰と言うドラマを込みにしてもあの存在感はとにかく異彩だった.

福岡2日目以来2度目の完走とはいえ,ステージ上に立つ人間としての態度ではないだろうと思う部分もあって,あんな態度なら最初から出るなと言う意見も今回の参戦で痛いほどよく分かった.しかし,今回の復帰にドラマ性を見出して伝説的な美談にしたい気持ちもよく分かる.

人を(良くも悪くも)惹きつけることがアイドル性だとすれば,今回ライブで平手友梨奈パフォーマーとしては最低だけど,アイドルとしては悪魔的に最強であることをこれでもかと見せつけられて,ただただ圧倒されてしまった.終演直後はとにかく「悪魔的」と言うフレーズが頭から離れなかった.

1グループのライブの評価がセンターの評価だけでこれだけ急変するのはどうなんだという意見はもちろんなんだけど,現時点では正当性や理屈はともかく欅坂46というグループについていくには平手友梨奈に従うしか他はないと納得する以外なかった.

とはいえ,2日目の方がスタンドでステージ全体を俯瞰できたこともあって非常に満足度も高かったし,セットリストが最高だからこそ,センター平手が全てを取り戻した時に何が起こるのかを目撃したいと強く思うライブだった.

そして,平手が全てを取り戻すには外野が何を言おうと結局平手が強くなる以外なくて,そうなることを信じて外野は俯瞰する以外他はないのだと思う.

もちろん,過剰な仕事量をサスペンドしろよと言う運営側へのクレームもよく分かるけど,体調管理は誰だって自己責任だし,平手は「才能を持っている人間はそれを使わないだけで罪になる(医龍に出てくる鬼頭教授のセリフです)」領域に足を踏み込んでいるのだと強く感じた.

全国ツアーも折り返し,今泉の復帰フラグもたったわけなので,平手もこれを機に順調に復帰して,最高の幕張を迎えられるようにとにかく頑張って欲しいと思うばかりであった.